昨日は、チーム運営を「カレー作り」に例え、責任の所在を曖昧にする「ふわっとした合意」を卒業しよう、というお話をしました。誰が肉(主役)で、誰がスパイス(個性)なのか。役割を明確にすることが、最高の一皿(成果)への近道でしたね。

しかし、レシピ通りに進めていても、避けて通れないのが「材料費の高騰」や「予期せぬトラブル」です。 「約束を守れば赤字になる。けれど、断れば信頼を失う……」 「注ぎ込んだコストがもったいなくて、やめ時が見つからない」

今日は、資材高騰という逆風の中での苦渋の決断と、レストランで語った「10万円のワイン」の例え話。この二つから、損をしてでも守るべきものと、勇気を持って切り捨てるべきものの境界線について考えてみましょう。


赤字の舗装工事と、10万円のワインの教え

今日、私のデスクの上には「溜息の出るような見積書」が並んでいました。 世界情勢による資材価格の急騰。数ヶ月前に交わした約束通りに工事を行えば、利益が出るどころか、確実に赤字になる。そんな厳しい現実が突きつけられました。

「材料代の方が施工費より高い。うちがやったら赤字や……」

経営者として、これほど苦しい瞬間はありません。けれど、私は昨年の見積もり価格で施工する決断をしました。それは、目先の数字よりも「あの時、私を信じてくれた相手との約束」を、私の会社のプライベートな資産として守りたかったからです。

そんな重い決断を抱えつつ、夜は仲間や子供たちと賑やかなレストランへ。 そこで私は、投資やビジネスにおける「損切り」について、こんな思考実験を投げかけました。

「もし、10万円の超高級ワインを頼んで、一口飲んで『激マズ』やったら、お前はどうする?」

「もったいないから全部飲む」と言うなら、それは損切りができていない状態です。10万円は払った瞬間に消えたコスト(サンクコスト)。不味いワインを飲み続けて、明日を二日酔いで台無しにするのは、損失をさらに拡大させているだけなんです。

一方で、キッチンカーのスタッフ「ゆいちゃん」の育成には、あえて先行投資をすることに決めました。今はまだ手取り足取り教える段階ですが、彼女が一人で現場を回せるようになるまでの「教育費」は、未来の自由を買うための、価値ある「払い込み」だからです。

夏のイベントに向けて、手拍子で盛り上がれるアップテンポな「ぎゅんぎゅんバンド」の構想を練りながら、私は気づきました。 赤字の工事は「信頼への投資」。スタッフの育成は「未来への投資」。 不味いワインを捨てる勇気があるからこそ、本当に美味しい一杯を味わうチャンスが巡ってくるのだ、と。


「サンクコスト」に振り回されず、賢い選択をするための3つの知恵

「せっかくここまでやったのに」という執着に心がパンクしそうな時、試してほしい考え方です。

  1. 「10万円のワイン」テストを自分に課す 何かを継続するか迷ったら、「これに費やしたお金や時間がゼロだとしても、今からこれをやりたいか?」と自問自答してください。NOであれば、それはサンクコストに縛られているだけ。**「これ以上、自分の時間を汚さない」**ために、勇気を持って損切りしましょう。
  2. 「信頼」を長期的な貸借対照表で見る 目先の取引で赤字が出ても、それが「約束を守る人」という揺るぎないブランドになるなら、それは広告宣伝費よりも価値のある投資です。「数字」で損をして「信用」で得をする。 この視点が、10年後のあなたを救います。
  3. 「育成ロードマップ」に時給を払う 人を育てる際、「まだ戦力にならないから」と渋るのではなく、将来の自分の負担を減らすための「予約購読」だと考えましょう。「できるようになるまで待つ」のではなく「できるようになる環境に投資する」。この発想の転換が、組織の成長スピードを劇的に変えます。

明日は、朝9時の「水盛り(測量)」から始まる朝

「パパの隣がいい!」とレストランで席の取り合いをする子供たち。 そんな賑やかで愛らしい「リストの上位」にある時間を守るために、私は今日もシビアな数字と戦い、未来への種をまいています。

さて、明日は朝一番で現場の測量。そして明後日は写真撮影が待っています。 赤字の案件でも、やるからには「さすが」と言われる最高の仕上げを。 そんなプロの意地と、ぎゅんぎゅんバンドのワクワクを胸に、また一歩進んでいこうと思います。

皆さんの明日が、過去の損失に囚われることなく、未来の自分へ最高のバトンを渡せる一日になりますように。

それでは、また明日!