あの日からの地続き

昨夜の屋台村で響いた仲間たちの陽気な笑い声と、これ以上ないほどの満腹の余韻をベッドの中に残したまま、南国の朝は思いがけない激しい雨音で幕を開けました。

日常の輪郭

客室の窓を叩く激しい雨粒を見つめながら、「ここまで降ってくれたら、もう余計なことを考える必要もないな」と苦笑い。私たちは予定通り、熱帯の植物が生い茂る広大なテーマパークへと向かいました。

カッパを着込み、泥だらけの山道を四輪バギーで突き進むスリリングな時間。激しく車体が跳ね、太古の生物たちが現れるワイルドなエンターテインメントツアーの最中、仲間から「どうだった?」と感想を求められました。私はハンドルを握り直しながら、いつもの悪戯っぽい笑みを浮かべてこう返しました。 「まるでいつもの現場やんか。正直、現場の不整地を走っている方がまだスリルあるで」 その一言に、仲間たちは泥だらけになりながら大爆発。旅先のアドベンチャーすらも、自分の日常の景色に重ね合わせて笑いに変えてしまう、そんな時間がたまらなく愛おしく感じられました。

昼食に立ち寄った店で味わったウニ丼は、何とも不思議なコクと風味で、「これはウニそのものと言うより、ウニソースを巧みに絡めた『ジェネリックウニ』やな」と、独自の食レポで再び車内を沸かせます。

しかし、そんな楽しい喧騒の合間にも、スマートフォンの画面は現実の灯りを点滅させていました。 一つは、まだ正式に決まってもいない案件の材料承認を執拗に急かしてくる、せっかちな取引先からの電話。「自分だって自動ドアが開くのすら待てないくらいのせっかち人間だけど、理不尽に予定を詰め込まれるのは勘弁してほしいな」とため息を突きつつ、旅先の風を胸に吸い込んで、冷静に大人の対応をこなします。

そしてもう一つは、遠く離れた故郷の幼稚園からの、次女が少しお腹を壊して微熱を出してしまったという連絡でした。

その瞬間のきらめき

激しい雨に煙る南国の景色の中で、冷たい沖縄風のぜんざいをスプーンですくいながら、私の心はいつの間にか、遠い我が家で心細そうにしている小さな娘の元へと飛んでいました。

「この冷たいぜんざいの上に、揚げたての地元の郷土菓子をトッピングしてワンコインほどで移動販売したら、夏の夜祭りで絶対に子どもたちが群がるぞ」 そんな新しい事業のアイデアが頭をよぎる一方で、胸の奥を占めていたのは、「帰ったらすぐに顔を見て、大丈夫だよと抱きしめてあげたい」という、切ないほどの父親の本音でした。

行列の絶えない天ぷら屋を眺めながら、待ち時間にお客さんを退屈させないためのゲーム企画を夢想するクリエイティブな熱量。それらすべての思考の真ん中で、私は自分のフルネームをまるで他人のように呟く、あの妙な口癖を心の中で小さく漏らしていました。未来の自分が読めばクスリと笑ってしまうであろうそのユニークな習慣は、どんなに遠くへ旅をしていても、自分が帰るべき最愛の場所——あの賑やかな我が家——から決して離れないための、目に見えないアンカー(錨)のようでした。

明日へのあしあと

今夜の夕食は、波の音が間近に聞こえる小粋な居酒屋にするか、それとも旅先であえて馴染みのラーメン店の暖簾をくぐるか、仲間たちとまだワイワイと頭を悩ませています。

楽しい旅の終わりが見え隠れする中、頭の片隅には、来月はじめに控えた高名な奏者との大切なジョイントコンサートのことがありました。本番までの全体練習は、あとほんの数回しか残されていません。帰国したらすぐにでも楽器を構え、誰よりも早く音を出して背中を見せなければならない現実が待っています。

それでも、今夜だけはこの激しい雨が連れてきてくれた涼しい夜風を肌に感じながら、愛おしい仲間たちとグラスを傾け、旅の夜を静かに慈しもうと思います。

明日も、きっといい日になりそうだ。

それでは、また明日。